紳士靴内側革破れ補修
トップリフトや靴底の修理が出来る事はご存じの方も多いのですが、靴のかかとの内側の修理が出来る事はまだ知らない方がいらっしゃいます。
かかとの内側の部分は靴を脱ぐ時に擦れてしまう部分ですので、徐々に革が薄くなり穴が空いてきたり破れてきたりします。
靴を脱いだ時に見た目が悪いだけではなく、履き心地にも影響してきます。
かかとの内側の革が破れてしまった場合、修理出来るとしてどのように修理できるのか?と不安ですよね。
ご安心ください。
穴が空いたり、破れてしまった部分だけ綺麗に目立たないように修理する事が可能なんです。
なぜ靴のかかとの内側の革が破れてくるのか?
かかとの内側の革が破れてくる原因は3つあります。
一つ目は靴のサイズが大きすぎる場合です。
大きすぎる靴を履いていますと歩く度に足が靴の中で遊んでしまいます。
そうしますと1日で平均1万回も内側の革を擦りながら歩く事になりますので、内側の革が薄くなり破れてきます。
二つ目の原因は靴のサイズが合っているのですが、靴紐を緩くして履き続けた場合です。
靴紐を緩くしたまま履かれますと靴が足にフィットせずに、やはり靴の中で足が遊んでしまう原因になります。
靴を履いたり脱いだりする時に靴紐を締めたり緩めたりするのは面倒ですが、できるだけ靴紐をしっっかり締めて履いて頂きたいと思います。
3つ目は靴の製法がグッドイヤーウェルテッド製法の靴の場合です。
グッドイヤーウェルテッド製法の靴は履きならすまで時間がかかります。
靴が自分の足に馴染んでくる課程でかかとの内側の革が擦れて破れてくる事があります。
革が破れて修理が必要になった時、靴が足に馴染んで履きやすくなっている経験があると思います。
かかとの内側の革が破れると困る事は?
かかとの内側の革が破れてきて困る事は歩く度に靴が脱げそうになりやすい事です。
かかとの内側の革は歩く時にかかとをしっっかりホールドする役目があります。
かかとをホールドする役目がしっかり出来なくなると歩く時に地面を踏みしめて蹴り上げた時に靴が脱げそうになり、歩行が安定しなくなります。
安定しない歩行はとても疲れやすく、体のバランスを崩す原因にもなります。
かかとの内側の革の破れを修理する方法
紳士靴は大切にすると3年、5年、10年とかなり長い期間履き続ける事が出来ます。
するとかかとの内側の革も擦れて破れてきてしまう事もあります。
下の写真のような状態です。
歩く時に足と擦れる部分の革が薄くなり破れてきた状態です。
かかとの部分には型が崩れないように芯が入っています。
今回のケースはその芯にダメージがありませんので上から革をあてがって修理します。
革をミシンで縫い止めるのですが、内側にミシン糸が露出しないように仕上げます。
ミシン糸を露出させない事でミシン糸が擦れて切れ、革がめくれて剥がれてしまわないようにします。
修理前の状態より長持ちするように仕上げます。
取り付けた革を内側に折り込んでヒールカウンターのカーブに沿うように貼り付けます。
革の色合いも同じような色合いの物で修理して自然な感じに仕上げました。
まとめ
かかとの内側の革が破れてしまう原因はサイズの合っていない靴や、靴紐をしっかり締めずにぶかぶかの状態で履き続けている時に破れやすい。
かかとの内側の革が破れた状態で靴を履き続けるとかかとをしっかりホールド出来なくなり安定した歩行が出来なくなる。
破れてしまったかかとの内側の革の修理方法は上から新しい革をミシンで縫い付けてから貼る事で綺麗に修理する事が出来ます。
修理にかかる時間の目安は3時間から
かかとの内側の革の破れは靴底修理の時、ご一緒に点検をおすすめします。
足に馴染んだ靴は快適です。
メンテナンスしてお気に入りの靴を大切に履き続けてみませんか。